こんにちは。星の森ファミリー歯科、歯科医師の伊東です。
「私の歯並び、やっぱり治した方がいいのかな…」
鏡を見るたびに、そう思うことはありませんか?
歯並びの悪さは、見た目の印象だけでなく、むし歯や歯周病のリスクを高めたり、全身の健康に影響を与えたりする可能性も。しかし、矯正治療には時間も費用もかかるし、本当に必要なのか悩ましいですよね。
本記事では、歯並びの悪い状態を放置することで起こりうるリスクや、矯正治療が必要なケースについて解説します。
目次
■あなたはどのタイプ?矯正で治す方がよい「悪い歯並び」の種類
歯並びが悪いと言っても、その種類はさまざまです。ここでは、歯科矯正で治した方がよい歯並びを紹介します。
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・開咬(かいこう):奥歯を噛み合わせた時に前歯が閉じない状態
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・出っ歯:上の前歯が前に突き出ている状態。
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・受け口:下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態。
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・すきっ歯:歯と歯の間に隙間がある状態。
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・深い噛み合わせ:噛み合わせが深く、上の前歯が下の前歯を深く覆っている状態。
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・ガタガタの歯並び:歯が重なり合って生えている状態。
さらに詳しい解説は「あなたはどのタイプ? 出っ歯、八重歯、ガタガタ…矯正がおすすめな歯並びの種類」で紹介しています。あわせて参考にしてください。
ここでご紹介した以外にも、さまざまな歯並びの状態があります。ご自身の歯並びの状態や矯正治療でどのように改善できる可能性があるかについては、歯科医師に相談する必要があります。
■矯正は本当に必要?「悪い歯並び」でも治療が必須でないケース
歯並びが気になっていても、すべての方が矯正治療を受けなければならないわけではありません。では、どのような場合に必ずしも矯正治療が必要ないと考えられるのでしょうか。いくつか例を挙げます。
◎機能的に大きな問題がないごく軽度の歯並びの乱れ
歯並びの乱れが比較的軽く、食事や発音といった日常生活で特に困っていない場合です。
◎歯磨きなどセルフケアが十分に行えている
歯並びによっては歯磨きが難しいこともありますが、時間をかけて丁寧にケアができており、むし歯や歯周病のリスクをうまく管理できている状態であれば、すぐに治療が必要とは限りません。
◎本人が現状の見た目を特に気にしていない
歯並びは見た目の印象にも関わりますが、本人が現在の歯並びに大きな不満を感じていない、あるいは特に気になっていないのであれば、治療を急ぐ必要はないでしょう。
ただし、ご自身では「問題ない」と感じていても、専門的な視点から見ると将来的に問題が起こる可能性が潜んでいることもあります。
■【要注意】悪い歯並びの放置は危険!身体に及ぶリスク
歯並びが悪い状態を放置すると、見た目の問題だけでなく、身体全体の健康にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。
◎むし歯や歯周病のリスク増加
歯並びが悪いと歯ブラシが届きにくい場所が増え、磨き残しが発生しやすくなります。その結果、むし歯や歯周病のリスクが高まります。
◎消化不良による胃腸への負担
噛み合わせが悪いと、食べ物を十分に噛み砕くことが難しくなります。噛み砕きが不十分なまま飲み込んでしまうと、胃腸に負担がかかり、消化不良を引き起こす可能性があります。
◎全身の歪み
歯並びの悪さは、噛み合わせの悪さにつながり、全身のバランスを崩す原因となることがあります。例えば、片方の歯ばかりで噛む癖があると、顔の歪みや肩こり、腰痛などを引き起こすことがあります。
◎精神的なストレス
歯並びの悪さは、見た目のコンプレックスとなり、精神的なストレスの原因となることがあります。
■私の悪い歯並びは矯正が必要? 治すべきか判断するポイント
ここでは、ご自身の歯並びについて矯正治療が必要かどうか、どのような点を考えればよいのか判断のポイントを3つ紹介します。
◎見た目と心理的な影響がある
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・歯並びにコンプレックスを感じている
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・笑顔を見せることに抵抗がある
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・人前で大きく口を開けにくい
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・歯並びが気になって自分に自信が持てない
もし、このような気持ちを抱えているようでしたら、矯正治療は一つの選択肢になるかもしれません。見た目が整うことで、こうした悩みが解消され、気持ちが前向きになることも期待できます。
◎お口の衛生状態に影響している
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・歯と歯が重なっている部分に歯ブラシが届きにくい
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・歯並びがデコボコしていて、食べかすや歯垢が残りやすい
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・口臭や歯周病などが気になっている
上記のような状態は、むし歯や歯周病のリスクを高めることにつながります。矯正治療で歯並びを整えることで、日々の歯磨きがしやすくなり、お口の中を清潔に保ちやすくなるでしょう。
◎食事など機能的な問題が発生している
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・食事中に頬の内側をよく噛んでしまう
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・前歯で食べ物をうまく噛み切れない
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・あまりよく噛まずに飲み込んでいる自覚がある
うまく噛めないことは、食事を楽しめないだけでなく、消化に負担をかける原因にもなり得ます。矯正治療で噛み合わせを整えることで、これらの問題の改善につながる可能性があります。
■悪い歯並びの放置リスクを理解し、自分に合った「治す」選択を考えよう
歯並びの悪さは、見た目だけでなく、お口と全身の健康にまで影響を及ぼす可能性があります。しかし、軽度の歯並びの乱れで日常生活に支障がない場合や、セルフケアがしっかりとできていれば、必ずしも矯正治療が必要とは限りません。
最終的に治療をするかどうかは、ご自身の歯並びの状態、将来的なリスク、ご自身の意思が重要です。
もし、歯並びのことで少しでも不安を感じているなら、まずは歯科医師に相談し、ご自身の歯並びの状態を詳しく知ることから始めましょう。そして、将来的なリスクや矯正治療のメリット・デメリットを理解した上で、自分にとってベストな選択をしてください。