こんにちは。星の森ファミリー歯科、歯科医師の伊東です。
「インビザラインのアタッチメントって何のために付いているの?」
「目立たないって聞くけど、実際どうなの?」
マウスピース矯正を検討中の方、現在治療中の方で、このような疑問をお持ちではありませんか?
インビザラインのアタッチメントは、歯の表面に一時的に接着される小さな突起物。マウスピースだけでは難しい歯の動きをサポートするための補助装置です。
本記事では、インビザラインのアタッチメントの役割、装着・取り外しの手順、万が一取れてしまった場合の対処法まで解説します。
目次
■インビザライン治療の「アタッチメント」とは?
アタッチメントとは、インビザライン治療中に歯の表面に一時的に接着される、歯の色に近い樹脂(レジン)でできた小さな突起物のことです。大きさや形はさまざまで、治療計画に基づき、必要な歯に必要な数だけ設置されます。
■アタッチメントの役割
アタッチメントには、主に以下の3つの重要な役割があります。
◎役割①:マウスピースをしっかり固定し、ズレを防ぐ
インビザラインは取り外しが可能なため、マウスピースが歯にしっかりとフィットしていないと、十分な矯正力がかかりません。
アタッチメントは、マウスピースの「取っ手」のような役割を果たし、歯とマウスピースを確実に固定させ、浮き上がりやズレを防ぎます。これにより、マウスピースの矯正力を無駄なく歯に伝え、計画通りに治療を進められます。
◎役割②:歯を動かす力を効果的に伝える
歯並びを整えるには、「回転させる」「歯を骨から引き出す(挺出)」「歯を骨に押し込む(圧下)」「歯根の向きを調整する」といった、三次元的なコントロールが必要です。
アタッチメントは、マウスピースだけでは難しいこれらの動きをサポートし、歯を動かすための力を効果的に伝えます。
◎役割③:治療効率を高め、適用範囲を広げる
アタッチメントによって歯を効率よく動かせるようになるため、治療計画がスムーズに進み、結果として治療期間の短縮につながる可能性があります。
また、これまでマウスピース矯正では難しかった症例でも、アタッチメントを活用することで治療が可能になるケースもあります。
■インビザラインのアタッチメントは目立つ?
アタッチメントは、歯の色に近い色のレジン素材が使われたり、できるだけ小さく、滑らかな形状にしたりと目立ちにくくなるような工夫がされています。
ただし、アタッチメントの周りにはプラークやステイン(着色汚れ)が付きやすいです。毎日の歯磨きでアタッチメント周辺を丁寧に磨き、着色を防ぎましょう。
■アタッチメントはどうやって付けるの?外す時は痛くない?
アタッチメントの装着は歯を削るわけではないので、麻酔の必要はなく、痛みを感じることはほとんどありません。手順は以下の通りです。
◎1.歯の表面を清掃・乾燥
まず、アタッチメントを付ける歯の表面の汚れをきれいに落とし、水分や唾液をしっかりと乾燥させます。
◎2.接着剤が付きやすくする下準備
歯の表面に薬剤を塗り、接着剤がしっかりと付くように下準備をします。
◎3.アタッチメントの装着
歯の色に近い、ペースト状の樹脂(レジン)を、アタッチメントの位置が正確に決まる専用のマウスピース(テンプレート)に入れたり、直接歯に乗せたりします。
◎4.光を当てて固める
専用の光を数秒間当てて、樹脂を硬化させ、歯にしっかりと接着させます。
◎5.形を整える
余分な樹脂を取り除き、アタッチメントの形を整え、表面を滑らかに磨き上げます。
アタッチメントは、不要になった時点で取り外します。取り外しの際も歯を削るわけではないため、通常は痛みを感じることはありません。
プライヤーなど専用の器具を使い、アタッチメントをつまんで、てこの原理を利用するように剥がし取ります。
■インビザラインのアタッチメントが取れた場合はどうする?
食事やマウスピースの着脱時などに「ポロッ」とアタッチメントが取れてしまうことがあります。
この場合、まずはどの歯のアタッチメントが取れたのか、鏡で確認しましょう。痛みや歯・歯ぐきに異常がないかもチェックします。
もし取れたアタッチメントが見つかったら、紛失しないようにティッシュにくるむなどして、小さな容器や袋に入れて保管しておきましょう。再利用はしませんが、状況を把握するのに役立つ場合があります。
次にできるだけ早く通院している歯科医院へ電話で連絡し、歯科医師の指示を仰いでください。
アタッチメントが1つ取れた程度であれば、そのまま現在のマウスピースを装着し続けるよう指示されることが多いです。しかし、状況によっては取れたアタッチメントを再装着するために、予定よりも早く受診するよう指示されることもあります。
【アタッチメントはマウスピース矯正(インビザライン)に必要な補助装置】
インビザラインのアタッチメントは、マウスピースを固定し、歯を効率的に動かすための小さな樹脂製の突起です。目立ちにくいように工夫されていますが、丁寧な歯磨きで清潔に保つことが大切です。
装着や取り外しに痛みはほとんどありませんが、万が一取れてしまった場合は、自己判断せずに歯科医院へ連絡してください。
アタッチメントは、インビザライン治療を成功させるための重要な補助装置。その役割を理解してインビザラインに臨みましょう。