こんにちは。
星の森ファミリー歯科、歯科医師の伊東です。
インビザラインで矯正を始めた方、あるいはこれから始めようと考えている方から、多く寄せられる質問の一つが「食事」についてです。
「食事中、マウスピースはどうすればいいの?」
「好きなものを食べても大丈夫?」
そんな疑問や不安で、せっかくの食事を楽しめていない方もいらっしゃるかもしれませんね。
この記事では、インビザライン中の食事の基本的なルールから、外食やデートといったシーン別のスマートな対応策まで解説していきます。
目次
■【大原則】インビザライン中の食事は「外す」がルール!
インビザラインで矯正中の食事は、必ずマウスピース(アライナー)を外すのがルールです。
「毎回外すのは面倒…」
「ちょっとくらいなら、つけたまま食べても大丈夫でしょ?」
そんな風に思う瞬間があるかもしれません。しかし、そのちょっとした油断が、以下のような取り返しのつかない悲劇につながる可能性があります。
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・むし歯・歯周病菌の培養器になり、むし歯リスクが増加する
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・マウスピースの破損・変形で使用不可になり、治療が遅れる
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・カレーやコーヒーで着色し、黄ばんで見た目が悪化する
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・歯が計画通りに動かず、治療が失敗に終わる可能性がある
マウスピースをつけたまま食事をすると、食べかすが歯とマウスピースの間に閉じ込められてしまいます。
唾液は、お口の中の食べかすを洗い流したり、むし歯の原因となる「酸」を中和したりする大切な役割を担っています。しかし、マウスピースによって蓋をしてしまい、その効果が歯に届かなくなるのです。
その結果、お口の中がむし歯菌や歯周病菌にとって最高の繁殖場所になってしまい、むし歯や歯周病のリスクが高まります。
また、カレーやコーヒー、赤ワイン、ミートソースなどは、つけたまま食べてしまっただけで、マウスピースが黄色や茶色に着色する原因となり、不衛生な印象になってしまいます。
さらにインビザラインのマウスピースは、食事の際に加わる噛む力に耐えられるようには設計されていません。インビザライン中の食事は、必ずマウスピースを外しましょう。
■インビザライン中に食べていい物、ダメな物
ここでは「これは食べても平気?」「この飲み物はOK?」といった、飲食物に関する疑問にお答えします。
◎【つけたままOK】なのは「水」だけ!
結論から言うと、マウスピースをつけたまま口にして良いのは「常温の水」だけです。
水はむし歯の原因になる「糖分」、着色の原因になる「色」、マウスピースを変形させる「熱」を含んでいません。
ただし、注意したいのが「無糖の炭酸水」。糖分はなくても酸性度が高く、歯の表面のエナメル質を溶かす「酸蝕症(さんしょくしょう)」を引き起こすリスクがあるため、つけたまま飲むのは避けましょう。
迷ったら「水」。それ以外は外す、とシンプルに覚えておくのが一番です。
◎【外せばOK】でも交換直後の”痛い時期”に避けたい食べ物
新しいマウスピースに交換した直後の2〜3日は、歯が動く痛みで普段より敏感になるため、食べるものに少し配慮が必要です。
避けた方が良い食べ物の例としては、
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・硬いもの: 硬いおせんべい、ナッツ類、りんごの丸かじり、フランスパンなど
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・繊維質なもの: ほうれん草やえのきなどの葉物・きのこ類
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・くっつきやすいもの: お餅、ソフトキャンディー、キャラメル
などがあります。
これらは、噛むときに強い力が必要だったり、歯に負担がかかったりするため、痛みを誘発しやすいです。
◎痛くて噛めない…そんな時のおすすめレシピ
歯が痛くてどうしても噛めない時は、柔らかくて栄養もしっかり摂れるメニューを選びましょう。
痛いからといって食事を抜いてしまうと、体力が落ちて治療を乗り切る気力もなくなってしまいます。噛む力が弱くても食べやすく、かつ栄養バランスの良い以下の食事がおすすめです。
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・おかゆ、おじや、リゾット
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・具材を細かく刻んだりミキサーにかけたりしたポタージュスープ
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・具なしの茶碗蒸し
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・冷奴や湯豆腐
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・ヨーグルト、ゼリー
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・プロテインドリンクや栄養補助食品
これらは、ほとんど噛む必要がなく、スムーズに飲み込めるものばかりです。辛い時期を乗り切るためにも、こうしたレシピをレパートリーに加えて、上手に食事を工夫してみてください。
■【シーン別】外食・デート・オフィス…こんな時のスマートな乗り切り方
自宅での食事は習慣化できても、外食や職場、学校など、外出先での対応に悩む方は少なくありません。ここでは、解決策をシーン別にご紹介します。
◎<外食・デート編>人前で外すのが恥ずかしい…どうすれば?
事前の準備とタイミングを見計らうことで、誰にも気づかれずにスマートに対応できます。
レストランに着いたら、メニューを注文する前に化粧室でマウスピースを外し、ケースにしまいましょう。食事が終わり、お店を出る直前や相手が席を立ったタイミングで再び化粧室へ。そこで歯磨きやマウスウォッシュでケアをし、再装着します。
この時のために携帯用の歯ブラシセット、マウスピースケースを忍ばせておくと完璧です。
◎<オフィス・学校編>昼食後のケアが面倒…
会社の給湯室や洗面所で歯を磨けるのがベストです。
しかし、時間がない、人が多くて使いづらいという場合は、液体歯磨きやマウスウォッシュで口をしっかりすすぐだけでも構いません。それすら難しければ、水を口に含んで強くうがいをするだけでもOKです。そして、帰宅後に時間をかけて丁寧にケアしましょう。
◎ <食べ歩き・旅行編>何度も着脱できない時は?
食事の時間を計画的にまとめて対応しましょう。食べ歩きを楽しむなら、「この1時間は好きなものを食べる時間!」と決めて、その間だけマウスピースを外しておくのがおすすめです。
【インビザライン中も工夫次第で食事は楽しめる】
インビザライン矯正中の食事は、むし歯やマウスピースの破損・着色を防ぐため「必ず外す」ことが大原則です。つけたまま口にして良いのは「常温の水」だけと心得ましょう。
マウスピースを外せば基本的に何でも食べられますが、交換直後の痛い時期は、おかゆやスープなど歯に負担のかからない柔らかい食事を選ぶ工夫が必要です。
「毎回外すのは面倒」と感じるかもしれませんが、そのひと手間が治療を計画通りに進め、成功させるためのポイントになります。