こんにちは。

星の森ファミリー歯科、歯科医師の伊東です。

マウスピース矯正（インビザライン）は、ほとんど目立つことなく歯並びを整えられますが、治療中はさまざまな痛みを伴うことがあります。そのため、「どんな痛みがあるの？」「痛みにどう対処すればいい？」といった不安や疑問を覚える方も少なくありません。

そこで本記事では、矯正中に感じる可能性のある痛みとその対処方法を紹介します。

■マウスピース矯正中に起こる痛みの種類

マウスピース矯正（インビザライン）は治療中に痛みを感じることがあります。痛みの程度は人によって異なりますが、主に以下のような場面で痛みが生じやすいです。

◎歯が動くとき

歯が動くことによる痛みは、マウスピース矯正に限らずどの矯正方法でも起こります。これは、歯の根っこと歯を支える骨の間にある「歯根膜（しこんまく）」が、矯正力によって圧迫され、炎症を起こすためです。

矯正治療を始めたときや、マウスピースを交換した直後に強く感じられますが、歯が新しい位置に移動するにつれて自然に和らいできます。3日目をピークにおよそ1週間で落ち着いていくことが多いです。

◎アタッチメントがあたるとき

マウスピース矯正では、歯の表面に「アタッチメント」と呼ばれるプラスチック製の小さな突起物を取り付けることがあります。これは、マウスピースと歯をしっかりと密着させたり、歯を望む位置に動かすために必要な装置です。しかし、アタッチメントで唇や頬の内側が擦れると、痛みを伴うこともあります。

◎マウスピースのフチがあたるとき

マウスピースの端の部分が歯茎や頬の粘膜にあたることで、痛みが生じる可能性があります。マウスピースに慣れていくことで和らいでいきますが、強い痛みが続く場合は、歯科医師に相談して調整してもらいましょう。

◎久しぶりにマウスピースをつけたとき

しばらくマウスピースを外していた期間があると、再び装着したときに痛みが生じやすくなります。これは、歯がもとの位置に戻ろうとする力と、歯並びを整える力が相反するために起こるからです。しばらくするとマウスピースに歯が馴染み、痛みは和らいでいきます。

◎むし歯・歯周病などのトラブル

マウスピースを装着していると、歯磨きが困難になり、むし歯や歯周病のリスクが高まります。重症化すると、痛みを伴う可能性があります。

■マウスピース矯正（インビザライン）で痛みを感じたらどうしたらいい？

痛みを感じた場合は、以下の方法で軽減できる可能性があります。

◎痛み止めを服用する

市販の痛み止めを服用することで、一時的に痛みを和らげられます。ただし、痛み止めの中には、歯の動きを阻害するものもあるため、服用する前に必ず歯科医師に相談してください。

◎マウスピースを調整してもらう

マウスピースが歯にあたって痛みを感じる場合は、マウスピースを調整してもらいましょう。マウスピースのフチを滑らかにすることで痛みを和らげられます。

◎前のマウスピースに戻す

新しいマウスピースを装着したときに強い痛みがある場合は、前のマウスピースに戻すことをおすすめします。前のマウスピースなら、歯が慣れているため痛みが和らぐはずです。数日間は必ず時間を守って装着し、新しいマウスピースに切り替えていきます。

ただし、前のマウスピースに戻しても改善がない場合は、計画から大幅にずれている可能性があります。担当の歯科医師に相談しましょう。

◎矯正用ワックスを使用する

アタッチメントやボタンが歯茎や頬の内側にあたって痛みを感じる場合は、矯正用ワックスを使用することで、痛みを軽減できます。矯正用ワックスは歯科医院で購入できます。

◎やわらかい食べ物を食べる

食事面でも工夫が必要です。硬い食品を避け、歯に刺激の少ないやわらかい食べ物を選びましょう。熱いまたは冷たい飲み物は、歯を刺激し痛みが生じる可能性があるため、控えめにしましょう。

◎歯科医師に相談する

痛みが続いたり、我慢できない程の強い痛みが生じた場合は、遠慮せずに歯科医師に相談しましょう。

■マウスピース矯正（インビザライン）の痛みでよくある質問

ここでは、マウスピース矯正の痛みに関するよくある質問を紹介します。

◎痛みが出たときにやってはいけないことは？

以下のことは避けてください。

• • ・無理に我慢する
  • ・硬い食べ物を食べる
  • ・熱い飲み物や冷たい飲み物を飲む
  • ・マウスピースを装着しない

硬い食べ物を食べたり、熱すぎる飲み物や冷たすぎる飲み物を摂取したりすると、さらに痛みが増す恐れがあります。また、マウスピースの装着を自己判断でやめてしまうと、歯が動いてしまい、計画通りに進まなくなる可能性があります。

痛みが出たときは無理に我慢する必要はありません。歯科医師に相談し、適切に対処してもらいましょう。

◎マウスピース矯正はワイヤー矯正よりも痛くないって本当？

一般的に、マウスピース矯正の方が痛みは少ないと言われています。その理由は、ワイヤー矯正に比べ、歯への力の加え方がゆるやかで一気に強い力がかからないためです。ただし、痛みの感じ方には個人差があり、決して痛みがないわけではありません。

◎矯正中の痛みは治療が進んでいる証？

歯が動く過程で痛みを感じることはありますが、それが必ずしも治療が進んでいることを意味するわけではありません。

【痛みがある場合は我慢せず歯科医師に相談しましょう】

マウスピース矯正をはじめとする矯正治療は、歯の動きに伴う一時的な痛みは避けられません。しかし、適切に対処すれば痛みを和らげられます。

また、マウスピース矯正はワイヤー矯正に比べ痛みが控えめと言われていますが、感じ方には個人差があります。治療期間中に痛みが生じても落ち着いて進めていきましょう。