こんにちは。
星の森ファミリー歯科、歯科医師の伊東です。
「インプラント治療を受けたら、もう安心!」
「メンテナンスって、本当に必要なの?」
このように考えていませんか?
インプラント治療は、手術を受ければ終わりというわけではありません。インプラントを長持ちさせ、快適に使い続けるためには、日々のケアに加えて、定期的なメンテナンスが必要です。
本記事では、インプラントのメンテナンスの内容や重要性、費用、頻度について詳しく解説します。
目次
■なぜインプラント治療後のメンテナンスが必要なの?
インプラント治療は、失った歯の機能を取り戻すための治療法です。しかし「治療が成功したらそれで終わり」というわけではありません。
インプラントは高価な治療であるため、できるだけ長く使用したいと考えるのは当然です。そのためには、天然の歯と同じ、あるいはそれ以上に継続的なケアが重要になります。
◎インプラント周囲炎を予防するため
インプラント周囲炎とはインプラントを支えるあごの骨や歯ぐきに炎症が起こる病気です。
天然の歯には「歯根膜(しこんまく)」という組織があり、細菌の侵入を防ぐ役割を果たしています。しかし、人工物であるインプラントには、この歯根膜がありません。そのため、歯磨きなどのセルフケアだけでは不十分で、歯科医院での専門的なケアが欠かせないのです。
インプラント周囲炎を放置すると、あごの骨が溶けてインプラントがぐらつき、最悪の場合は脱落してしまうこともあります。インプラントを長持ちさせるためにも、定期的なメンテナンスを受ける必要があるのです。
◎残っている歯を守るため
インプラント治療を受けた方の多くは、歯周病などの問題を抱えているケースが多いです。そのため、残っている天然歯はむし歯や歯周病のリスクにさらされています。
定期的なメンテナンスでは、インプラントのチェックだけでなく、歯周病の検査や歯石の除去、むし歯のチェックなどを行うのが一般的です。
さらに、噛み合わせの調整でインプラントと天然歯のバランスを整え、残っている歯への負担を軽減します。
◎インプラントの寿命を延ばすため
インプラントは、適切なケアを続けることで、10年、20年、あるいはそれ以上も使い続けることができます。しかし、そのためには適切なケアが欠かせません。
毎日の歯磨きはもちろん大切ですが、定期的なメンテナンスを受けることで歯磨きでは落としきれない歯垢や、歯石を除去できます。その結果、インプラント周囲炎を予防し、長持ちさせることができるのです。
◎メーカー保証を受けるため
多くのインプラントメーカーは、製品に対して一定期間の保証を設けています。これは、万が一インプラントに不具合が生じた場合に、無償で修理や交換を受けられるというものです。
しかし、ほとんどのメーカーが定期的なメンテナンスを受けていることを保証の条件にしています。
メンテナンスを怠ると保証が適用されず、高額な修理費用を自己負担しなければならない可能性も出てきます。せっかく高価なインプラント治療を受けたのですから、メーカー保証を有効活用するためにも定期的なメンテナンスを欠かさずに受けましょう。
■インプラントのメンテナンスはどのようなことをするの?
ここでは、一般的に行われているインプラントのメンテナンスについて紹介します。
◎視診・触診
まず、歯科医師や歯科衛生士がお口全体とインプラント周囲の状態を丁寧に確認していきます。歯ぐきの色や腫れ、出血、排膿がないかなどをチェックします。
◎レントゲン撮影
インプラントを支えるあごの骨の状態を確認します。骨が溶けていないか、インプラントがしっかりと固定されているかなどを調べます。
◎クリーニング
専用の器具を使って、歯磨きでは落としきれない歯垢や歯石を丁寧に除去します。
◎歯磨き指導
インプラント周囲炎を予防するためには、毎日の歯磨きが非常に重要です。歯科衛生士からお一人おひとりの口腔状態に合わせた磨き方を指導してもらえます。
◎噛み合わせの確認
インプラントと他の歯の噛み合わせをチェックし、必要があれば調整を行います。
メンテナンスの頻度や費用は、患者さまの状態や治療内容によって異なります。一般的には、3~6ヶ月に一度のペースでメンテナンスを受けるのがおすすめです。
費用は保険適用外となる場合が多く、歯科医院によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。
■インプラント治療後に気をつけるべきこと
インプラント治療後は、毎日の丁寧なケアが大切です。特にインプラント周辺は汚れが溜まりやすい箇所。
歯ブラシの毛先を45度に傾けて、歯肉との境目を丁寧に磨くなど注意が必要です。また、歯間ブラシやデンタルフロスも併用し、徹底的に清掃しましょう。
なお、喫煙はインプラントの寿命を縮める原因となるため、禁煙をおすすめします。
さらに、硬すぎる食べ物はインプラントに負担をかける可能性があるので注意が必要です。歯ぎしりもインプラントに悪影響を与えるため、マウスピースの使用などを検討しましょう。
■メンテナンスを受けてインプラントを長持ちさせましょう
インプラントのメンテナンスは、インプラントを長持ちさせ、快適に使い続けるために必要です。
メンテナンスでは、視診・触診、レントゲン撮影、クリーニング、歯磨き指導、噛み合わせの確認などを行います。
定期的なメンテナンスを受けることで、インプラント周囲炎などのトラブルを予防し、インプラントを長持ちさせることができます。費用は保険適用外となる場合が多く、頻度は3ヶ月~半年に1回が目安です。
インプラント治療を受けた方は、必ず定期的なメンテナンスを受けるようにしましょう。