こんにちは。
星の森ファミリー歯科、歯科医師の伊東です。
「鏡を見るたび、歯並びが気になる」
そのような経験はありませんか?
一言で「歯並びが良くない」と言っても、出っ歯、八重歯、ガタガタなど、さまざまな歯並びの種類があり、その状態は人それぞれです。
この記事では、歯科矯正を検討するきっかけになりやすい代表的な歯並びの種類と、それらがもたらす可能性のあるリスク、治療法を解説します。ご自身の状態と照らし合わせながら、歯並びへの理解を深めていきましょう。
目次
■【不正咬合セルフチェック】矯正がおすすめな歯並びの種類一覧
ここでは、一般的に歯科矯正が検討されることの多い歯並び、いわゆる不正咬合(ふせいこうごう)について解説します。鏡を見ながら、ご自身の歯並びと照らし合わせてみてください。
◎タイプ1:出っ歯(上顎前突/じょうがくぜんとつ)
上の前歯が下の前歯よりも大きく前方に突き出ている状態、いわゆる「出っ歯」と呼ばれる歯並びの種類です。上の歯列全体が前に出ているケースや前歯だけが傾斜しているケースなどがあります。
◎タイプ2:八重歯・ガタガタの歯並び(叢生/そうせい)
あごの大きさに対して歯が並ぶスペースが足りず、歯が重なり合ったり、ねじれて生えてしまっている歯並びの種類です。「乱ぐい歯」とも呼ばれ、「八重歯」も叢生の一種に含まれます。
◎タイプ3:受け口(下顎前突/かがくぜんとつ・反対咬合/はんたいこうごう)
下の前歯が上の前歯よりも前に出ている噛み合わせで、「受け口」や「反対咬合」とも呼ばれる歯並びの種類です。遺伝的な要因が関与することも少なくありません。
◎タイプ4:すきっ歯(空隙歯列/くうげきしれつ・正中離開/せいちゅうりかい)
歯と歯の間に隙間が空いている状態のことです。特に前歯の真ん中に隙間がある場合を「正中離開」と呼びます。
◎タイプ5:開咬(かいこう・オープンバイト)
奥歯でしっかり噛み合わせたときに、上下の前歯の間に隙間ができてしまい、噛み合わない歯並びを指します。
◎タイプ6:噛み合わせが深い(過蓋咬合/かがいこうごう・ディープバイト)
噛み合わせたときに、上の前歯が下の前歯を覆う面積がとても大きい状態のことです。「深い噛み合わせ」とも言われる歯並びです。
◎タイプ7:交叉咬合(こうさこうごう・クロスバイト)
上下の歯を噛み合わせたときに、部分的に上下の歯が横方向にずれて、本来とは逆に噛み合っている状態を指します。
■なぜ注意が必要?不正咬合がもたらす共通のリスク・デメリット
不正咬合は、見た目の印象に関わるだけでなく、私たちの心身の健康にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。特に噛み合わせが悪い状態が続くことで、以下のような共通のリスクやデメリットが生じることが考えられます。
◎見た目のコンプレックス
口元は人の印象を大きく左右するため、歯並びが気になってしまうことで、「人前で思い切り笑えない」「口元を手で覆ってしまう」といった心理的な負担を感じる方は少なくありません。
このようなコンプレックスは自己肯定感にも影響を与えることがあります。もし歯並びが原因で悩んでいるなら、矯正治療もコンプレックス解消のためのひとつの治療となるでしょう。
◎むし歯や歯周病になりやすい
叢生(ガタガタ)や八重歯、歯が傾いている部分などは、歯ブラシが届きにくい箇所ができ、歯垢が溜まりやすい状態です。歯垢が原因でむし歯や歯周病、口臭が発生しやすくなります。
◎しっかり噛めない(咀嚼機能の問題)
開咬や交叉咬合、重度の叢生、受け口など、上下の歯が正しく噛み合わないと、食べ物を効率よく噛み砕くことが難しくなる場合があります。食べ物が十分に咀嚼されないまま消化器官に運ばれ、消化不良の原因になることも。また、満腹感を得にくくなり、食べ過ぎにつながる可能性も考えられます。
◎発音への影響
歯並びの種類によっては舌の動きが妨げられたり、息が漏れたりすることで、サ行、タ行、ナ行、ラ行などの発音が不明瞭になる可能性があります。
◎顎関節への負担・顎関節症リスク
悪い噛み合わせは、あごの関節やその周りの筋肉に過度な負担をかけ、顎関節症のリスクを高める可能性があります。
■矯正治療で歯並びは改善できる?
結論からお伝えすると、多くの場合、矯正治療によって歯並びの改善が期待できます。現代の矯正歯科医療は進歩しており、これまで紹介したような歯並びの種類に対応可能な治療法があります。
矯正治療は、歯に適切な力を加えることで、歯を支える骨の代謝を利用して歯を少しずつ動かす治療法です。ワイヤーとブラケットを用いる方法はご存知の方も多いと思います。
また、「インビザラインで出っ歯は治せる?」「ガタガタ・八重歯もマウスピースで矯正できる?」の記事でご紹介している通り、マウスピース型矯正装置「インビザライン」でも改善が期待できるケースがあります。
ただし、治療期間や費用、抜歯の必要性などは、歯並びの種類や状態、選択する治療法によって大きく異なります。また、治療後には後戻りを防ぐための保定期間が必要です。
ご自身の歯並びが矯正治療で改善可能か、どのような方法がおすすめかを知るためには、矯正歯科を専門とする歯科医師による精密検査と診断が必要です。
■自分の歯並びタイプを知り、気になる場合は歯科医師へ相談を
この記事では、さまざまな歯並びの種類と、それがもたらす可能性のある影響、そして矯正治療による改善について解説してきました。ご自身の歯並びについて、何らかの気づきがあったかもしれません。
しかし、大切なのはご自身の判断だけで結論づけず、歯科医師に相談することです。鏡で見るだけでは分からない、噛み合わせの機能的な問題や将来的なリスクが隠れている可能性もあります。
歯並びに関して少しでも気になる点があれば、星の森ファミリー歯科へお気軽にご相談ください。